鍵盤をはじめて触ったときのこと思い出せない位置で振り向く(Piano)
てのひらの中の森へと行きましょう帰り道ならすぐわかるから(rrr)
痛いのはほんの少しの甘さゆえ惑わされてはもう出られない(Dism)
休日はくもり時々晴れだからベッドのうえで君と過ごそう(B)
粉雪の世界をきみが手を引いて連れ出したから見えた風景(nano)
漂おうループしていくまどろみに底がなくてもかまわないから(nano)
木枯しを楽しんでいるふりをしたスカート揺れて秋は彼方へ(ma)
うんざりを繰りかえすほど懐かしい景色のなかに時々帰る(metro)
もう二度と目覚めなくてもいいのです君は迎えに来ないのだから(carb cola)
カチ カチ カチ 耳をぴったりくっつけて鍵が開くまでやってみるのよ(Ice track)
携帯を海に放ってきみからのテレパシーだけ受信するんだ(soto)
意味のないことの意味まで探っては感じることがへたくそになる
星五つあればそのうち四つまで君にあげるよ一つ隠して
お世辞ならこんな時間に10回も同じ曲など聴けるはずない
ありがとうおやすみなさい眠ったらなるべく君のそばまでゆこう
()内は曲名です。
感想だけに終わらせたくなくていろいろやっていたら……
自解を期待!!
鍵盤をはじめて触ったときのこと思い出せない位置で振り向く(Piano)
自解:
ピアノのやわらかい音色を耳にした。本当に生まれてはじめて鍵盤を触ったときの記憶がないことに気づいた。その思い出せなさがあまりにも本格的だったため(ずいぶん遠くまで来たんだな)という感慨を抱いた。
迷い:
「位置で振り向く」特に「振り向く」に納得がいかない。もやもやする。定まらない感じ。
もう少し配置換えか何かをしたらよりアンニュイな雰囲気を伝えられる気がする。
てのひらの中の森へと行きましょう帰り道ならすぐわかるから(rrr)
自解:
危うげな感じを出したくて下の句であえて安心させるような言葉を吐いてみました。
「てのひらの中の森」というのはコドモの遊びのような少しミサめいた不思議な感じを出したくて使ってみました。
迷い:
「てのひら」部分で悩みました。とにかく小さなものにしたかったのですが……うーん。。
そしてもちろん(?)下の句の選び方でも。
痛いのはほんの少しの甘さゆえ惑わされてはもう出られない(Dism)
自解:
甘さ(sweetの方の甘さ、読みが甘いの甘さではなく。でも、かけてもいいかもしれない)のせいで痛いことってよくある気がします。甘さに惑わされて迷宮入りしてしまった途方のなさを詠みました。
迷い:
言いたいことはわかる(詠んだ本人なだけに)が、まとまりがない。ばらばらな気がする。
ただ、選んだ言葉は悪くはないと思う。
「出られない」が少しひっかかる気がする。
休日はくもり時々晴れだからベッドのうえで君と過ごそう(B)
自解:
けだるい、やる気なんてでない。くもりから始まる休日。白っぽい空気のなかで白いベッドの上で君と不毛な時を過ごそう。だらだらとごろごろと。(その中になにかが無造作にみつかるかもしれない)
迷い:
上の句と下の句まるで理由になっていないかのようなことをあえて「から」で繋いでしまうということに心地よさがある気がする。しっくりしている気がする。それ以上でも以下でもない感じが余計にいいのかもしれない。と、思う。
こういう歌を推敲するのがものすごく苦手であるということにも気づいた。
粉雪の世界をきみが手を引いて連れ出したから見えた風景(nano)
自解:
放って置いたら私はいつまでも粉雪吹き荒ぶような荒れた風景の中にい続けたであろう。君が手をとり連れ出してくれたことで見えたもの得たものがある。
再三言っているレミオロメンの『粉雪』をなぜか100回以上も聴いてようやく他の場所に行くことができたということから。
迷い:
安直。
よくありそう。
でも、こういうものなのかもしれないと思う。こういう感情(感想?)に対しては。
上の句が落ち着かない。
漂おうループしていくまどろみに底がなくてもかまわないから(nano)
自解:
どこまでも落ちてゆく。落ちていっているのかもわからない。浮遊感。ただ、この感じが心地よいからどんどんとどこまでも。
迷い:
「~から」という表現を多用する私に気づいた。
困った。
初句「漂おう」をもう少しけだるい感じにできたらよかったかもしれないしそうじゃないかもしれない。温度差を少し感じたので。
木枯しを楽しんでいるふりをしたスカート揺れて秋は彼方へ(ma)
自解:
むしろ楽しくなんかない、たとえば恋とかしていた頃があってそれが秋で、スカートを木枯しが揺らしたこともたぶんあったであろう。辛い恋愛の中にいた自分がよくも悪くも遠くに見える。
迷い:
「ふりをした」もよく使う気がする。
女の子の象徴でもある「スカート」が「揺れる」ということで恋愛の不確かさ、不安のようなものを表せていたらいいなと思う。
結句「秋は彼方へ」で悩んだ。今もあまり落ち着いていない気がする。
うんざりを繰りかえすほど懐かしい景色のなかに時々帰る(metro)
自解:
またここに来てしまった。という特定の場所ではなく感覚的、感情の位置というのがある。いつになってもあの頃と同じ思いをする。そうした時に(帰ってきてしまった)と思う。懐かしくもあり、もう戻りたくないという思いもある。
迷い:
歌全体が落ち着かない。
初句「うんざりを」がイヤだ。
結構問題の多い一首な気がする。
もう二度と目覚めなくてもいいのです君は迎えに来ないのだから(carb cola)
自解:
完全に自暴自棄な歌です。自暴自棄になることでなけなしの希望を託すような。つまりやけっぱちの眠り姫ですね。
迷い:
また「~から」を使っている。この歌に関してはしかたがない気がするけれどもっと他にアプローチのしかたがあるなら試してみたいと思う。
カチ カチ カチ 耳をぴったりくっつけて鍵が開くまでやってみるのよ(Ice track)
自解:
君の胸のダイヤルを鍵師のような真剣さで開けようとしてみる。どこかの会社の金庫のような大きな君の胸に耳をぴったりとくっつけて。諦めない。いつか、開ける。開くまで、やる。
迷い:
初句「カチ カチ カチ」の字余りはいいのか?
結句「やってみるのよ」が出てくるまでに試行錯誤した。今ではこれでいいのかと思う。
携帯を海に放ってきみからのテレパシーだけ受信するんだ(soto)
自解:
直球シチュエーション短歌です。
すべての些末な事情から強制的に自分を解き放ち、それでも君とはつながっていられるようなきがする。意志のかたちでそう願ってみる。
迷い:
すんなりまとまっていてパンチはない。
意味のないことの意味まで探っては感じることがへたくそになる
自解:
全てに意味があるはずと勘ぐることにばかり慣れて気がつくと感じるということがへたくそになっていた。そのままでいいこともある。どちらが大事とは言えないが、目に見えるものばかりを信じていてもだめだろう。偏ってもどうかと思うが。
迷い:
個人的に好きです。しかもなんとなく。
しっかりまとまって少し(もしかして、立ってる?)と感じる。
上の句が伝わりづらいかもしれない。
星五つあればそのうち四つまで君にあげるよ一つ隠して
自解:
隠した一つは次への希望。全てを手にしてしまうとそれ以上にいかなくなるから。安心してしまうから。でも、いつか最後の一つもあげてしまうのでしょう。そんな日を待つ。
迷い:
乙女くさい。
こういう歌って人のを読むのはいいが自分だと思うとなんとなくイヤだ。
「一つ隠して」がありがち。自解に沿うならもっと違う歌があった気がする。
お世辞ならこんな時間に10回も同じ曲など聴けるはずない
自解:
朝の6時、仕事帰り。どうでもいい、何も響かなかった歌ならリピートしてまで聴いたりしない。
行動が表すことは多い。ちなみに、すでに30回は越えました(nano)
迷い:
限りなく言葉に近い。
もう少し背景がきっちりと詠みこまれていたら違ったかもしれない。
ありがとうおやすみなさい眠ったらなるべく君のそばまでゆこう
自解:
「ありがとう」と「おやすみなさい」を詠みたかったため詠んだ歌。
眠るとこの世を離れるような気がする。『夢で会えたら』の世界ですね。
迷い:
下の句に難あり。結局まとまらなかった感が大いにあります。
*今回の自解は量が多かっただけに大変でした(苦笑)
最後まで読んでくださったかた。本当に本当にありがとうございます。肩でも揉んであげたいくらいです。ありがとうございます。